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腎血管性高血圧(腎動脈狭窄症) 

1.高血圧の原因:二性高血圧圧症について

 高血圧症は高齢者に多い病気ですが、その原因から本態性高血圧症と二次性高血圧症に分けられます。本態性高血圧はもともと遺伝的な体質等から血圧が上がる方で、塩分の取り過ぎなども原因となりますが、血圧上昇の原因がはっきりとしないものです。二次性高血圧症は、他に原因があり血圧が上昇するものです。二次性高血圧症には、腎動脈が細くなることによって腎臓から血圧を上げる物質(レニン)が出ることによる腎血管性高血圧が代表的なものです。それ以外には、副腎の腫瘍によるものや腎臓自体の機能が悪化して血圧が上昇するタイプなどがあります。二次性高血圧症はその原因となる病気を直すことにより、血圧を正常にすることができます。



2.腎血管性高血圧の症状と診断について
 若い女性の高血圧症や、中高年者で最近急に血圧が上昇した方や、血圧のコントロールが不良になってきた方は腎動脈狭窄の可能性をまず考える必要があります。また、長期に腎臓から出る昇圧物質を押さえる系統の血圧の薬を飲み続けている方は、症状もなく腎動脈の狭窄が進行している場合があります。高血圧の薬を飲まれていて血圧が落ち着いている方も定期的に腎動脈の狭窄について検査することも重要です。

図1動脈硬化性の腎動脈狭窄の状態(矢印)
 
 
図2細くなった腎臓の血管(矢印部分:CTによる診断画像、白い斑点は血管の石灰化部分です)
 
 
3.腎動脈狭窄症の原因
 中高年者で最近急に血圧の上昇を認めた方や血圧のコントロールが悪くなってきた方では腎動脈狭窄の可能性をまず考える必要があります。最も多いとされているのが動脈硬化性腎動脈狭窄であり腎動脈の入り口が動脈硬化で細くなります(図1)。全高血圧患者の3%−6%を占めるとされます。比較的高齢者や他の動脈硬化性疾患患者に合併することが多く、冠動脈疾患の6%に腎動脈狭窄を合併するとの報告があり、当院の閉塞性動脈硬化症では、11%の方が腎動脈狭窄を合併していました。線維筋性異形成、高安動脈炎は若い女性に多い腎動脈が細くなる病気です。狭窄病変の位置は、粥状硬化性病変では腎動脈入り口部分の狭窄が多くをしめます。線維筋性異形成は腎動脈の中央部の病変が多く、高安動脈炎ではほとんどが腎動脈入り口部分の病変です。

4.治療方針について
 治療方針には、薬物運動療法、カテーテル治療などがあります。
 
 
Ⅰ.薬物療法
 軽症の方は薬で症状が改善されます。腎動脈が細くなることによって腎臓から血圧を上げる物質(レニン)を抑える系統の薬を使うことによって血圧を下げることができます。

Ⅱ.カテーテル治療について
 高度の腎動脈狭窄がある方がカテーテル治療の適応になります。最近血圧が急に上昇してきた方、比較的少量の降圧剤で血圧が安定していたのに急にコントロールが不良となった場合や急に腎機能が悪化した方、心不全を繰り返す場合などは腎動脈狭窄がその原因である可能性が高く、狭窄部のカテーテル治療を行います。
ステント治療は腎動脈起始部病変の多い粥状硬化性腎動脈狭窄症に適用となります。動脈硬化性の腎動脈起始部病変は、腎動脈の病変であると同時に大動脈壁の一部の病変であるという性格を持つため(図1)、単純にバルーンで拡張しただけではすぐに狭くなってしまうことが多く、ステント留置ができれば十分な内腔が保持でき効果的です。一方、線維筋性異形成では、一般にバルーンで簡単に拡張できる症例が多いですが、一部に非常に病変部が硬くバルーンで十分拡張できない方も認められます。
 
 治療前の血管造影画像(矢印:狭窄病変)
 
 
カテーテル治療後の血管造影画像(矢印:ステント留置後に血管の狭窄は改善し血圧も正常となった)
 
Ⅲ.腎不全、心不全に対する治療
 近年、腎血管性高血圧だけではなく、腎機能の保護を目的としたステント治療が報告されています。高血圧が無くても、腎機能の悪化が進行している方や、腎の委縮が認められる方ではステント留置の対象なります。また、腎動脈狭窄が難治性の急性肺水腫や心不全の再発や不安定狭心症の原因となることが明らかにされており、こういった方々では腎動脈狭窄の可能性を考えて検査を行い、狭窄がある場合には積極的なカテーテル治療の適応となります。

   使用するステント
(病変部位でバルーンを拡張することによりステントとともに狭窄部分を広げます)
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血管病センター長  
 内科部長   熊倉 久夫