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成人先天性心疾患の外科治療 
  心房中隔欠損、心室中隔欠損、動脈管開存症、肺静脈還流異常症といった先天性心奇形は幼少期に外科的治療を受ければ、その後はほとんど症状も残らないので薬などの治療も必要になりません。しかし、複雑心奇形といわれる疾患をもつ小児患者さんは幼少期に数回の手術が必要となるだけでなく、成人となっても薬物治療のみでなく外科手術が必要となるケースが少なからずあります。その代表例を挙げ外科治療方法を記述します。

心房中隔欠損症
 心房中隔欠損が小さく、幼少期には発見されず成人になって健康診断で発見されることがあります。ほとんどの場合には心肥大、心房細動といった不整脈で診断されますが自覚症状が余りないことも稀ではありません。中隔欠損の大きさによっては成人でもカテーテルによる閉鎖術(アンプラツァー閉塞術)も可能ですが、欠損の大きさや形状によっては外科的手術を優先します。(手術危険度:1%以下)

心室中隔欠損症
 心房中隔欠損と同じように成人期になって初めて診断されることもあります。本症は自覚症状が無い場合でも心内膜炎や三尖弁閉鎖不全の発生が起こる危険があるために基本的には手術適応となります。(手術危険度:1〜2%)

肺静脈還流異常症
 右肺静脈が右房に部分的に還流していることがあり、症状的には心房中隔欠損症に似ていて成人期に発見されることがあります。還流異常の血管を左房につなげる外科手術には人工血管などを必要としません。(手術危険度:1%以下)


大動脈弁狭窄
 生後数週間以内に外科的形成術(交連切開術)が行われますが、多くの症例では10歳前後で大動脈弁の再狭窄または閉鎖不全が顕著となり再手術を必要とします。多くの症例で弁輪が狭小であることから弁置換に加え弁輪拡大手術も行われます。(手術危険度:3〜4%)


肺動脈弁狭窄症
 生後間もなくカテーテルによる弁交連切開術が行われますが、その後多くの症例で弁置換術、肺動脈拡大術が行われます。(手術危険度:2〜3%)

ファロー四徴症
 幼少期に心室中隔欠損閉鎖、右室流出路拡大、肺動脈弁の形成術といった根治手術を受けた患者さんが、肺動脈弁の閉鎖不全や狭窄で肺動脈弁置換術が必要となります。その場合、15歳以上であれば弁置換が優先されますが機械弁であればワーファリンによる抗凝固剤が生涯不可欠となります。女子の場合には将来妊娠の可能性も考え生体弁の選択でファーファリンを回避することはできますが、生体弁の変性・機能不全で10年後に再弁置換が必要になります。(手術危険度:5〜6%)


冠動脈起始異常

 冠動脈が大動脈壁内走行をしているために狭窄を起こす病気が稀にあります。成人期になって狭心症を起こしたり、心筋梗塞を起こす症例があるために手術的に狭窄部位の解除を行う必要があります。そのほかには冠動脈が肺動脈や右心系に短絡ろう(シャント)を形成している場合があり、短絡血液量が多い場合には手術的に短絡ろう閉鎖術を行う必要があります。(手術危険度:1〜2%)


大血管転位症
 生後間もなくおこなわれた心房内血流再建術(マスタード術、セニング術)または大動脈・肺動脈交換術(ジャテーン術/スイッチ術)を受けた患者さんが成人になって三尖弁閉鎖不全で弁置換を必要とすることが起きてきます。(手術危険度:8〜10%)稀には房室ブロックでペースメーカーの植え込みの適応となります。


修正大血管転位症
 解剖学的右心室(機能的左室)の三尖弁が20〜30歳代で閉鎖不全をきたすことが多いので、呼吸苦や倦怠感、不整脈といった症状が出てきた時点で弁置換を行う必要があります。手術時期が遅すぎると心不全が軽快することは難しくなります。(手術危険度:2〜3%)

病 院 長
ボッフム大学永代教授   南 和友